
こんにちは。「夫が調べる看護師のセカイ」管理人です。
前回、看護師になるための過酷な道のりを知り、妻への尊敬の念を新たにしました。
そして今回はいよいよ、私がずっと気になっていた「夜勤のヤバさ」にメスを入れていきます。
看護師の夜勤には、大きく分けて「2交替制」と「3交替制」という2つの働き方があるのをご存知でしょうか。
妻は現在「2交替制」で働いていますが、以前の病棟では「3交替制」でした。
素人目線で考えると、1回の労働時間が短い3交替制の方が絶対にラクだと思っていました。しかし、妻に聞いてみると「いや、絶対に今の2交替の方がマシ」と即答されたのです。
「え、どういうこと!?」
混乱した私が様々なデータや現場の声を調べていくと、そこには一般の常識では計り知れない、壮絶なサバイバルの現実がありました。
夫の常識崩壊。「16時間(2交替)」vs「8時間(3交替)」の違いとは?
まずは、この2つのシフトがどう違うのか、基本をおさらいしておきます。看護師の勤務形態である2交替制と3交替制の最大の違いは、「1日(24時間)の勤務をいくつに分けるか」と「1回あたりの勤務時間・夜勤の回数」にあります。
- 【3交替制】1回8時間・月7〜8回 1日を「日勤」「準夜勤」「深夜勤」の3つに分ける勤務形態です。実働はそれぞれ8時間程度に設定されています。
- 【2交替制】1回16時間・月4〜5回 1日を「日勤」と「夜勤」の2つに分ける勤務形態です。日勤は8時間程度ですが、夜勤は夕方から翌朝までの長丁場となります。
普通の感覚なら、「16時間も病院に閉じ込められる2交替より、8時間で帰れる3交替の方が絶対にラクだよね?」と思いますよね。1回の労働時間が短い方が、長時間の緊張を強いられず、1日の中での身体的・精神的な疲労の蓄積を防ぎやすいというメリットがあるのも事実です。
しかし、現場の真実は全く違いました。
妻の証言。「日勤からの深夜」は嫌いだった
「3交替の方が体はラクだったんじゃないの?」という私の問いに、妻は遠い目をしてこう言いました。
「3交替の時の『日勤からの深夜』は、私は嫌いだったよ。なんかすぐに勤務がはじまる感じがするから」
3交替制の最大のデメリットは、勤務間隔が短くなりがちなことです。「日勤が終わったその日の夜中にすぐ深夜勤に入る」といったシフトが組まれることがあり、十分な睡眠や休息がとれない場合があります。
机上の計算では数時間のインターバルがありますが、医療現場で「定時上がり」などほぼ不可能です。
妻は当時を振り返り、「日勤が定時に終われなくて、ガッツリ残業になった時の『深夜』が本当に地獄だった」と語りました。
現場の看護師の意見を調べても、この過酷さは浮き彫りになっています。
- 「日勤が終わってから深夜勤に入るまで、眠れなかったら地獄」といった過酷さが指摘されています。
- 「日勤が定時に終われず、帰宅して休む間もないまま出勤になる」という声もあります。
- 「休みからの深夜入りは、午後から出勤のことでソワソワして遠出もお酒も楽しめない。休みという名の勤務感覚」と、休日の充実度の低さに不満が集中しています。
- 深夜帯(午前0時や1時など)に出退勤する必要があるため、通勤の負担や防犯上の不安もあります。
「8時間で帰れる」という言葉の裏には、睡眠時間が極限まで削られる「終わらない無限ループ」が隠されていたのです。
アンケートで80%が支持!それでも「16時間の2交替」が選ばれる理由
では、現在の主流はどうなっているのでしょうか。 日本医療労働組合連合会(医労連)の「2025年度 夜勤実態調査結果」によると、病棟における割合は「2交替」が54.8%、「3交替」が45.2%となっており、2交替が過半数を占めています。

さらに驚くべきことに、看護師向けサイトが実施したアンケートでは、80%が「2交代」、8%が「3交代」(その他11%)と回答しており、働く看護師からも2交代制が圧倒的に支持されていることがうかがえます。
16時間という異常な拘束時間にもかかわらず、なぜこれほど支持されるのでしょうか?
【2交替が支持される理由(メリット)】
- 夜勤明けの後に連休を取りやすく、ほぼ3連休の感覚で旅行にも行けるなど、メリハリのある生活を歓迎する声が非常に多いです。
- 極端に勤務間隔の短いシフトがないため、身体的にも精神的にも楽だと感じられています。
- 患者と継続して関わる時間が長いため状態を把握しやすく、またスタッフ間の引き継ぎの回数も減るため、情報の伝達ミスが起きにくくなります。
とはいえ、2交替が「天国」なわけではありません。夜勤の拘束時間が16時間程度に及ぶため、長時間の労働と緊張により肉体的・精神的な疲労が大きくなります。 忙しくて夜勤中の仮眠や休憩がしっかりとれないと、疲労がピークに達する早朝などに集中力が低下し、事故やミスのリスクが高まる恐れがあります。中には「重症度が重いと仮眠に入っても気にして全然寝られず、朝方には動悸が止まらなくなる」といった切実な意見もあります。
それでもなお、「1回の勤務が長くても、しっかり働いてしっかり休める(連休が取れる)2交替制の方が、ライフスタイルを充実させやすい」という意見が大多数を占めているのです。
夫の下世話な疑問「ぶっちゃけ、手当はどう違うの?」
過酷な夜勤をこなす上で、もう一つ気になるのが「お金(手当)」の話です。これも調べてみたところ、明確な差がありました。
日本看護協会が発表した最新の「2025年 病院看護実態調査」によると、2025年現在の夜勤1回あたりの定額夜勤手当の全国平均は以下のようになっています。
| 夜勤種別 | 夜勤手当(1回あたりの平均) |
|---|---|
| 2交替制(約16時間夜勤) | 11,470円 |
| 3交替制(準夜勤) | 4,300円 |
| 3交替制(深夜勤) | 5,211円 |
一般的なシフト(2交替で月4回、3交替で月8回)で比較すると、2交替制の方が月額で約7,000円程度高くなる計算になります。身体への負担だけでなく、収入面でも2交替制の方が少しだけ報われる仕組みになっているようです。
パリの看護師もドン引き!?「16時間夜勤」は世界の非常識だった
ここまで調べて、「なるほど、日本の看護師にとっては2交替制の方が理にかなっているんだな」と納得しかけた私ですが、最後に衝撃的な事実に出会いました。
日本の当たり前は、世界から見ると異常だったのです。
ある資料に、フランス(パリ)の病院における働き方が紹介されていました。
- パリでは看護師は「日勤か夜勤か、どちらか働く時間を選んで就職しているため、日勤と夜勤の交代制勤務はしていない」とされています。
- 勤務の長さは、昼夜を問わず「最長12時間」と定められています。
資料の筆者がパリの看護師に「日本では16時間夜勤をしている」と話したところ、「日本人は働きものだ」と驚かれたというエピソードが紹介されています。 つまり、日本では当たり前となっている「長時間の夜勤を含む交替制勤務」は、世界(少なくともこのフランスの事例)の当たり前とは異なり、働き方や労働時間に対する前提に大きな違いがあることが分かります。
どちらのシフトも大変過酷。せめて家では休息を
今回、2交替制と3交替制の実態を調べてみて、どちらの働き方も一般のサラリーマンからは想像もつかない過酷な環境だと痛感しました。
「16時間連続勤務の方がマシ」という妻の言葉の裏には、極限のサバイバルを生き抜いてきたリアルな悲鳴が込められていたのです。
こんなにも身を粉にして働き、パリの看護師も驚くような過酷な夜勤を乗り越えて帰ってくる妻。
夫としてできることは何だろうかと考えた時、一番は「家では少しでも楽をしてもらうこと」だと気づきました。
次回は、看護業の「人手不足」について、リサーチしてみたいと思います!

